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法学検定

平成15年実施 法学検定試験 2級「講評」

 平成15年度の法学検定試験2級は11月16日(日)に実施いたしましたが、受験者の方からのご要望により、「講評」を掲載することといたしました。
 未掲載の科目につきましても、順次掲載いたします。
 試験問題の解説につきましては『2004年法学検定試験2級・法学既修者試験過去問題集』(2004年3月上旬刊行予定)に収録いたしますのでご参照ください。

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■法学基礎論 講評
 法学基礎論は22問中5問を選択して解答する方式であり、5点満点で、平均点2.69点であった。これは53.8%の正答率であり、2002年が79%、2001年が53%であったことを考えると、一昨年並みの難しさだったということになる。ちなみに、受験者2794名中、5点満点であったのは99名、3.5%であり、以下、4点544名19.4%、3点35.5%、2点27.9%、1点11.2%、0点2.4%と、正規分布となっている。
 各問の選択者数をみると、選択者が多い順に、問題20、22、21、3、5、6、7であり、逆に選択者が少なかったのは、少ない順に、問題18、19、11、12、10であった。そして、正答率をみると、正答率の高い順に、問題22、3、20、21であり、これら以外は50%を切っている。逆に、正答率が低い順に、問題9、10、14、13であり、10%を割り込んでいる。つまり、司法制度論(問題20、21)と法的思考の基礎(問題22)が比較的簡単な問題であり、それを選択した人が多かったということであろう。これに対し、西洋法制史(問題10、11)、東洋法制史(問題12)、フランス法(問題18)、中国法(問題19)は、大学での講義もあまり多くはなく、したがって、選択しにくかったということであろう。なお、英米法(問題13、14)は、他の外国法に比べれば選択者は多かったが、問題は簡単ではなかったようである。
 法学検定試験2級において、法学基礎論が共通の必修科目とされているのは、法律家として、法の歴史および外国法について素養をもつことは最先端のビジネス・ローに携わる場合にも重要なことであるとの認識に基づくものであり、少なくとも、これらの分野のなかで5問程度は自信をもって解答ができるように、基礎法科目のテキストにも親しむよう心がけてもらいたい。


■民法 講評
 2級民法は、3級民法を事前に試験問題集を予習しないで受けた場合よりは難度をやや高くし、現行司法試験の択一式のレベルよりはやや優しいレベルに設定している。
 受験者は2794人で平均点は10点満点で3.4点と昨年の平均より0.4ポイント低下した。ただし、本年は、昨年2問だけであった組み合わせ問題が一昨年並みの7問に増加したことが一因であると考えられる。満点者は0.3%であり、昨年より0.1ポイント増加しているから優秀者にとっては、出題形式のいかんは影響がないことを意味している。
 以下、正解率の低かったいくつかの問題をとりあげる。  正解率の一番低かったのが問題4の23.4%である。選択肢2と答えた者が過半数の51.2%にも及んだ。判例は、建物賃借人は虚偽表示の対象である土地売買につき事実上の利害関係を有するにとどまり、民法94条2項の第三者に該当しないとしている(最判昭57・6・7判時1049・36)。このような判例の立場には学説上は反対も多いが、建物の賃借人は敷地利用権との関係では法律上の利害関係者にあたらないとして保護しないのは、借地契約が債務不履行解除された場合の地上建物の賃借人の場合についても同様である。選択肢4は、Bの特定物債権はCへの登記により履行不能となり、Aに対する損害賠償請求権(金銭債権)へと転化するため、詐害行為取消権(民424条)による保護の対象となるとするのが判例(最判昭36・7・19民集15・7・1875)であり、また、相当価格による不動産売却も原則として詐害行為にあたるというのが判例(大判大7・9・26民録24・1730等)であるため、詐害行為となりうる。
 2番目に正解率が低かったのが問題3であり、27.7%である。40.6%が選択肢5、すなわち、選択肢ウオが正しいものとしているが、民法201条3項によれば、占有回収の訴えは、占有侵奪の時から1年以内とされており、占有侵奪を知った時からではない。このような期間の起算点に関する誤解は、嫡出否認の訴えの期間(民777条)についても起こりやすいので注意しよう。エの前段は、判例は、悪意の原告からの占有侵奪を理由とした損害賠償請求を認めている(大判大13・5・22民集3・224)ことから、悪意の占有者も占有回収の訴えを提起することは妨げられないと解されており、正しい。
 問題6の正解率は29.5%であるが、他の回答についても、15%〜20%と分散している点に、他の低正解率問題にはない特徴がある。物上保証の効果についてはその重要性にもかかわらず条文がほとんどない。判例は、保証の規定を類推する部分としない部分があるので、きちんと整理しておこう。
 問題9の正解率は30.7%であり、選択肢2、すなわち、選択肢アウを不法行為責任にのみあてはまると答えた者のほうが43%と多かった。労災事故において債務不履行責任を追及する場合には、債務者たる使用者の安全配慮義務の内容を債権者たる被用者の側で主張・立証しなければならないので、選択肢アは債務不履行責任にもあてはまる。
 問題1の正解率は32.5%であり、40.7%もの者が5、すなわち、選択肢エオを正しいと答えている。選択肢アについては、民法7条の文言に加えて、未成年後見と成年後見の趣旨の違いを理解しておく必要がある。エについては、補助人は、同意権と代理権の一方または双方を有しており(民法14条3項)、もし補助人に特定の法律行為について代理権のみが与えられた場合は、被補助人の行為能力は制限されないので、被補助人が補助人の同意なしに法律行為をなしてもこれを取り消すことはできない。成年後見の各類型ごとに、代理権と同意権の関係を条文に即して整理しておこう。
 問題10の正解率は33.3%であり、選択肢5を選んだ者がほぼ同数の32.1%いた。遺留分権利者は、受遺者からその目的物を悪意で譲り受けた者に対しても減殺請求できることが明文で規定されている(民法1040条1項)。このように、家族法の問題はまず条文をきちんと読んで制度の仕組みを理解しておけば、難しくない。
 以上の6問が正解率3分の1以下であり、過半数の者が正解したのはわずかに問題8だけであった。


■憲法 講評
 憲法は、10点満点で平均点が4.55点でありほぼ昨年並み(昨年は約4.7点)であった。正答率は最高でも65.3%であって、昨年のように正答率が80%以上というものはなかったものの、正答率60%以上の問題が4つもあったことからすると、全体的には特に難易度が高いわけではなかったということであろう。問題5のような、最高裁判決の判決文をもとにその正確な理解を問う問題は、思いこみがあると正解に達することができないのだが、60%以上の受験者が正答に達していた。また、私人間における人権の保障に関する第2問は、内容的には平易だが、選択肢の文章を当てはめ文章を完成させる力が問われる問題であったが、これも60%以上の正答率であった。こうしてみると、総じて受験者は、考える姿勢をもって試験に臨んでいると評価できよう。
 ただ、平均点が4点台であったのは、第4問の正答率が8.4%、第6問の正答率が8.9%と極端に低かったからである。第4問は、憲法事件において憲法問題がどのような経緯で争われたかについての正確な理解を問うものである。選択肢3(第1次家永教科書訴訟)と5(奈良県ため池条例事件)を選んでいる解答が比較的多かった。3次にわたる家永教科書訴訟の区別(1次、3次が国家賠償請求訴訟で、2次が取消訴訟)を尋ねるのは酷かもしれないが、2級ともなれば、これほど著名な憲法訴訟については正確に知っておいてほしいものである。『憲法判例百選』などで憲法判例を読むときには、どうしても紹介されている判旨部分だけに注目しがちだが、どのような経緯で当該憲法問題が争われているのか、憲法判断の部分が判決全体のなかでどのような位置を占めるのかに注意してもらいたいものである。この問題は、出題者側のそうした憲法学習のあり方についてのメッセージが込められた知識問題である。
 第6問は、議院の自律権に関する誤った記述を選択させるものだが、それほどの難問ではない。受験者の半数以上が、議員の資格争訟の裁判権が最終的なものであるとする選択肢を選んだが、これは正しい選択肢である。どの選択肢も正しい記述のように見えとまどったようだが、議院の自律権には他の議院からの自律という意味もあることからして、内閣や裁判所からの自律を意味するとする最初の選択肢が誤った記述である。やや紛らわしい問題だが、選択肢を落ち着いて正確に読むことが求められる。
 日本国憲法の制定過程を問う第1問、裁判所の審査権の範囲を問う第8問、憲法判断回避を問う第9問は、40%程度の正答率であった。第8問はやや難問だが、第9問のほうは、最高裁判所の「念のため」判決を知っていればできる比較的簡単な問題である。もし、皇居外苑使用不許可処分取消訴訟の最高裁判決が「念のために」といって本案についての判断を示したことを知らなかったとすると、著名な憲法訴訟についての重要な知識が欠落していたということになる。また、「そういえば」と後から思い出した方は、文章の量に惑わされずに落ち着いて選択肢を読んでいれば容易に正解に達しえたであろう。
 このように重要な憲法事件についての基本的な知識の保有と、選択肢を正確に読み込む力の確認が、今回の2級憲法問題のテーマであったわけである。  


■刑法 講評
 2級試験においては、「法学部を優秀な成績で卒業する程度の専門的知識および法的思考力」を身に付けているかどうかが試される。今回の試験では、刑法総論と各論についての正確な理解を試す、かなり高度な問題が出題された。ただ、問題のレベルはほぼ3級試験と同程度であり、3級問題集の刑法編をきちんと勉強してきた受験者にとっては高い得点をとることは難しくはなかったはずである。平均点は10点満点で5.455点であり、すべての科目を通じて最も高かった。出題する側としては、このレベルの問題であれば7点から8点程度を目指してほしいと思う。受験者(2190人)のうち、8点以上をとったのは13.6%(297人)であり、7点以上をとったのは28.8%(630人)であった。満点をとった受験者は1%(21人)でしかなかった。  正答率が特に低かったのは、問題3(33.5%)、問題6(39.7%)、問題10(38.7%)であった。これらの問題について若干のコメントを加えておく。
 問題4は、未遂犯に関する基本的理解を問うものである。受験者は、選択肢1を選ぶか、それとも選択肢4を選ぶかで迷ったようである。それは、小問アにつき未遂が処罰される犯罪が住居侵入罪か、それとも名誉毀損罪かで迷ったということである。ただ、この問題は条文を暗記しているかどうかを試すものではない。刑法各論の学習の過程で、住居侵入罪(および不退去罪)の実行の着手時期をめぐって議論があること、また、名誉毀損罪については未遂の開始時期をめぐって議論がないことを思い出せれば、解答は可能であろう。
 問題6は、事後強盗罪を素材として共犯と身分に関する理解を問うものであるが、事例の解決にあたり、事後強盗罪を真正身分犯と解して65条1項を適用するなら甲は強盗致傷の罪責を負い(選択肢1)、事後強盗罪を不真正身分犯と解して65条2項を適用するなら甲は傷害罪の罪責を負うことになろう(選択肢3)。ただし、前説を採っても、65条1項にいう「共犯」には共同正犯を含まないという理解もあり、それによれば、傷害罪の共同正犯にとどまるという結論も可能であろう(選択肢2)。最も不適切なのは、事後強盗罪を不真正身分犯と解して65条2項の適用可能性を肯定しながら、暴行罪の単独正犯にしかならないとする結論(選択肢4)である。65条の適用可能性の問題を度外視するにしても、少なくとも傷害罪の共同正犯の成立は当然に認められるであろう
。  収賄罪に関する問題10について見ると、正解は選択肢の4である(2003年版法学検定試験問題集3級の問題118を参照)。受験者の中には、選択肢2を正答としたものが多かった。判例は、一般的・抽象的職務権限の変更後に、以前の職務に関して賄賂を収受したとき、事後収賄罪ではなく、通常の収賄罪(受託収賄罪等)の成立を認めている。この論理は、一般的・抽象的職務権限の変更前に、後の職務に関して賄賂を収受したときにも妥当するであろう。事前収賄罪ではなく、通常の収賄罪(受託収賄罪等)が成立するのである。


■刑事訴訟法 講評
 2級刑事訴訟法は、受験者数約1400人、10点満点で、本年は平均点が約3.3点であった。昨年の2級試験は、平均点が5.3点であり、本年ははじめて実施した刑事訴訟法既修者試験とほぼ同レベルの出題であったためか、出来は予想以上に良くなかった(なお既修者試験・刑事訴訟法の平均点は約4.5点)。5問以上正解だった者は全体の約26%、満点者は0.1%(2名)にとどまっている。
 それでは、問題が難しすぎたかといえば、たしかに単純な知識を問う問題は少なく、刑事訴訟制度や学説・判例に関する正確な知識と理解を前提として、さらに考えたうえでの解答を求める問題が多かったとはいえよう。このような出題に対処するには、前提としての知識と理解が十分身に付いていなければ難しい。受験者には、基本書の慎重な再読を求めたい。
 特に正答率が低かったのは、いわゆる通信傍受法の基礎的知識を問う問題3(正答率12.0%)と、被告人勾留に関する基礎的知識を問う問題5(正答率19.1%)であった。前者は特別法ではあるが、実質的意味の刑事訴訟法を構成する重要な強制処分の1つであり、通常の捜索差押検証処分との相違点にも留意しながら勉強しておく必要がある。後者は、被疑者勾留との相違点とも併せて制度に関する基本的な知識を再確認してほしい。


■行政法 講評
 行政法の平均点は4.911点で、独禁法、刑法に次いで全科目中第3位の点であった。昨年、一昨年と平均点トップが続いたことを考えると、行政法が若干難しくなったように見える。しかし、他の科目と比べて低いということはなく、全体としてはまずまず妥当な結果に落ち着いたものと評価したい。
 正答率の低かったのは問題5、7、9で、いずれも20%台であった。問題5については、行政上の義務を強制する仕組みと即時強制とを総合的に学習し、特に直接強制と即時強制の違いを明確に認識しておくことが肝要である。それと行政代執行法をきちんと読んでおくこと。問題7は、行政手続法と行政不服審査法の関係についての理解度が問われる問題である。こうした着眼点は、多くの受験者にとってあるいはなじみの薄いものであったかもしれない。しかし、これら2つの法律は行政法の基本法律である。もっと条文を丁寧に読み込んでおいてほしかった。そうすればそれほど苦労することもなく正答に到達できたはずである。問題9は住民訴訟の問題であるが、この訴訟の特質、住民監査請求との関係、請求の類型などを、地方自治法の条文に照らしてきちんと理解しておきたい。今日住民訴訟は頻繁に利用されているので、その制度の概要について知識をもつことが切に求められる。
 これら3問ほどではないが、問題6も正答率30%台と出来がよくない。意外な結果である。最近の行政法の教科書にはたいてい情報公開法の説明が盛り込まれているから、それを面倒がらずに条文と照らし合わせて通読してほしい。
 問題1は正答率54.24%で、この数字は悪くはないが、それほど良いとも言えない。注目したいのは、この問題の正答を得る力が行政法全体で高い点数をとる力に綺麗に比例しているということである。そういう意味では、この問題は行政法の学習に真面目に取り組んでいるかどうかを見るためのバロメーターと言えるだろう。


■労働法 講評
 2003年度の2級試験労働法の受験者総数は762名であった。昨年よりやや減少したが、やはり、相変わらず相対的な受験者数は多く、労働法という科目の意義が反映されていると言えよう。法科大学院の設置とその進展の中で、今後とも同様の傾向が続いていくものと思われる。
 試験結果を概観すると、今回もこれまでと同様満点取得者はおらず、平均点は4.203点で、前回より0.3ポイントほど上昇した。このこと自体は喜ばしい結果と言えるが、正答率を見ると、20%未満の問題が問題1、2、7、8と4問もある一方で、50%を超える問題も問題3、5、6、9、10と5問もあるという内容であり、今回は受験者にとっては易しい問題と難しい問題が2極分化していると受け止められたようである。
 まず正答率20%未満の問題を見てみると、どうやら問題の内容の難易度によるものというよりは、形式によるところが大きかったようである。問題1、2、8はいずれも「最も適切なもの」あるいは「誤っているもの」等を1つだけ選択するという形をとっておらず、「誤っているもの」もしくは「適切でないもの」の組み合わせを選ばせるという形式であった。ある意味では、内容の難易度に直接関わらない正答率の結果であるとも言えるが、設問内容自体は平明な基礎知識を問うものであり、若干残念な印象を免れない。これに対して、最も適切なものを選ぶ問題であったにもかかわらず正答率が15.1%と全問中最も低かった問題7は、通勤災害と業務災害の峻別は労災保険法に明記されている(同法7条参照)ところであり、当然チェックしておくべき事柄であろう。ただ、通勤災害による休業の場合に労基法19条の解雇制限が及ばないことは通常あまり意識されていないことは確かであり、ここに2級のレベルの本領が発揮されていると言える。
 いずれにせよ、2級の場合には3級と異なり、一定の応用力を要請される。細かな条文や下級審判決の動向まで正確に把握する必要は毛頭ないが、労基法や労組法のみならず、均等法、労災保険法、職業安定法など重要法令の内容については最低限の理解が必要である。また、少なくとも最高裁判決の動向には、一応の注意を払っておくことが不可欠であることも強調しておきたい。


■独占禁止法 講評
 独占禁止法の受験者合計は164名である。平均点は7.36点であった。10点満点が25名いる。得点ごとの人数を見ると、8点を頂点とした山と、5点を頂点とした山とがあり、受験者が二極分化していることが窺える。すなわち、独禁法の内容に関する的確な理解が広がってきたために、従来並みの理解にとどまっている層との差別化が明確になってきているもの、と思われる。独禁法の実務・研究は、平成に入ってから確実に進歩している。従来並みの枠組みしか与えない「昔とった杵柄」的な話を聴き書物を読むにとどめるのか、進歩を組み込んだ話を聴き書物を読むのか、によって、差は顕著に生じることになろう。教師や書物を選ぶに際しての解答者の眼力が問われる。
 誤答が最も多かったのは、問題7の選択肢2である。除名しても問題のない事案もあるが、「より競争制限的でない他の手段」があるために独禁法違反となる事案もありうる。


■租税法 講評
 今年の租税法は平均点数が2.415点と低かった。問題自体は基本的なものであり、ひねくれたものはなかったはずであるのに、この結果であった。設問ごとの正答率は、問題2が約45%、問題3と問題5が約35%、問題7が約30%、問題1と問題6が約25%、問題8と問題9が約20%、問題4と問題10が約10%であった。ちなみに正答率の極端に低い問題4と問題10は、誤っているものはいくつあるか、あるいは、正しいものはいくつあるかという形式のものであったという点が共通している。なお、合計点では、最高点が6点(人数比で2.4%)、最低点が0点(人数比で9.8%)であった。
 きわめて残念なのは、問題1や問題2のようなきわめて初歩的な問題についても、正答率がそれほど高くなかった点である。すべての問題について、もう一度見直して、よく理解していただきたい。今後も、基本的な理論や取扱いについて十分に理解しているかどうかという視点から、問題作成にあたりたい。昨年も述べたことであるが、課税はすべての経済取引に対して何らかのかたちで関係してくるものであり、したがって、実社会においては、いかなる職業につくにせよ、課税問題を知らないですますわけにはいかないという点を認識していただければ幸いである。


■国際取引法 講評
 国際取引法については、平均点が10点満点で平均3.7点という低い点となった。前回に比べてさらに問題が難しかったということかもしれない。問題別に見ると、ウィーン売買条約に関する問題、代理店販売店に関する問題、物権の準拠法に関する問題、日本における外国法人の扱いに関する問題、国際ファイナンスに関する問題の出来が悪い。逆に良くできた問題は、外国判決の承認執行に関する問題、WTOに関する問題、国際課税の基本である恒久的施設に関する問題、である。もう少し、長期の分析を必要とするが、この傾向は国際取引法を受験する人の層が、学生より国際取引に従事している社会人が多いということを意味しているのかもしれない。それにしては代理店販売店に関する問題の正答率が低いことが気になるが、この問題は誤っている記述を1つ解答させる問題ではなく、誤っている記述の数を答えさせる問題であった。この形式の問題は、記述のすべてに正確な知識を要求されるので正答率が低かったということが考えられる。国際取引法の勉強の仕方としては、おそらくこのような実務重視の考え方で間違いはないのであって、今回は問題が少々難しすぎた、ということができるのかもしれない。


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