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法学検定

2004年実施 法学検定試験 4級・3級「講評」

 2004年11月14日(日)に実施しました法学検定4級・3級試験について、各科目ごとに「講評」を掲載いたします。
 未掲載の科目に関しても順次掲載いたします。
 

■4級 法学入門 
 


■4級 民法 
 今年度の4級民法の平均点は、9.86点であった。昨年度が11.63点であったから、これを約1.8点下回ったことになる。 全体の合格点が昨年より3点低かったのは、民法の平均点が低かったこととも関係している。
 正答率が極端に低かったのは問題13(17.0%)であり、以下、問題8(30.9%)、20(35.4%)、7(35.7%)、5(36.0%)、6(42.0%)などが低正解率であった。
問題13は事務管理というあまりなじみのない分野からの新作問題であり、問題5と20は、いずれも出題分野が複数の領域にわたる新作問題であったことが 、正解率の低さにつながったものと思われる。今回は、新作問題を合計6第出題したが、いずれも正解率は5割に達しなかった。問題6、7、8はすべて物権 法に関するもので、問題集に掲載された問題に基づいて作成されているが、文章上の修正度が比較的大きく、少なくとも見かけ上は新作問題に等しかったため に、正解率が低くなったものと推定される。問題集に掲載された問題をマル覚えするのではなく、解説を含めてその内容を正確に理解することが必要であるこ とを改めて痛感させる。
 正解率が6割を超えたのは、問題2(73.7%)、15(69.6%)、3(64%)の3問にとどまっている。これらは、いずれも問題集に掲載されている問題をそのまま採用したものである。問題集からそのまま再録された問題はほかにも少なからず存在するが、正解率は50%台にとどまっている。例えば、問題4は正解率が50.4%でしかないが、時効に関する基本的なことがらを問うものであるから、もう少し正解率が高くなってもよかったように思う。


■4級 憲法 
 


■4級 刑法 
 法学検定4級試験の「刑法」では,1年間程度刑法を学んだ人が基礎的な知識と法的思考力を習得しているかどうかが 試される。今回の試験では,刑法総論と各論につき,前者にウエイトを置きつつも,基本的事項の正確な理解があるかどうかを確認する問題20問が出題 された。平均点は20点満点で10.211点であり,もともと念頭に置いていたレベル(12点程度)よりも少し低かった。4級問題集にない問題が5問ほどあり (問題番号2,7,9,13,15),例年よりも問題の難度が高かったことがその理由であろう。それでも,受験者(4934人)のうちで,16点以上の得点を とった人が7.8%(386人),18点以上をとった人が1.6%(81人)いた。
 正答率がもっとも低かったのは,罰金刑に関する問題2であった(13.3%)。これは条文に関する知識問題であるが(刑法9条,10条,15条,18条,25条 などを読めば正答は簡単に導かれる),刑罰論に関するごく基本的な事項に属するものである。次に,正解が少なかったのは,違法性の意識に関する問題7 であった(15.6%)。厳格故意説は,違法性の意識があることが故意の要素であるとする見解であり,このケースでは違法性の意識はなかったのであるから, 故意は否定される。制限故意説は,違法性の式の可能性があることが故意の要素であるとする見解であり,このケースでは違法性の意識の可能性もなかったと されるのであるから,故意は否定される。したがって,選択肢の1も2も誤りである。違法性の意識不要説によれば,この事例でも故意は認められる。 そこで,選択肢3も誤りである。責任説によれば,このケースでは責任が否定される。したがって,正解は4ということになる。  


●3級 法学一般 
 


●3級 民法 
 今回の新作問題6問のうち、正答率が5割りを上回ったのは、問題1のみであり、他の問題2、3、4、5、20はすべて 4割りを下回った。問題集からの出題については、すべて4割を超えているのと比べると、記憶力ではなく、応用力こそが重要であることを感じさせる。  問題5は、正答率11.9パーセントと最低であった。6割近くの受験生が選択肢1を選んでいる。選択肢1は833条、選択肢3は826条、選択肢4は837条に 根拠があるが、選択肢2については827条によれば自己のためにすると同一の注意でよい。家族法は条文上の知識があれば解ける問題が多いので、きちんと 条文を読んでおこう。
 問題4は、正答率27パーセントで、4割以上の受験生が選択肢を5を選んでいる。選択肢5は、借地借家法10条2項に明文の規定がある。選択肢3は借地借家 法10条1項どおりであり、建物の登記は土地の登記簿にではなく、建物の登記簿に登記されるので、選択肢択4が誤り。借地借家法は民法の重要な特別法であ るので、せめて条文はきちんと読んでおくようにしよう。
 問題3の正答率は、34.7パーセント。選択肢1は、共同賃借人であるから不可分債務になる。選択肢2は、連帯保証も保証であるから、457条1項により時効中 断の効力が保証人にも及ぶ。選択肢3は、連帯債務者の一人に対して通知をすれば他の連帯債務者に対しても債権譲渡を対抗することができる。選択肢5は、 いわゆる共同保証人間の保証連帯であり、分別の利益は失うが、連帯保証とは異なって催告の抗弁や検索の抗弁は失わない。連帯債務と連帯保証の同じ点と 違う点を整理しておこう。
 問題2の正答率は、37.1パーセント。正解である選択肢2と同じくらいの受験生が選択肢3を選んでいる。選択肢2は、判例は占有改定による即時取得を 認めないので、誤り。ネームプレートがあれば、それを見過ごした第三者を有過失であったとして、即時取得の効力を妨げられる。
 問題20の正答率は、37.3パーセント。第三者弁済については474条2項が、債務者の交替による更改については514条が、それぞれ債務者の意思に反してで きないことを明記しているが、保証契約と遺贈についてはそのような規定はない。また、免責的債務引受の場合に債務者の意思に反してできるかについて争い があるが、併存的債務引受については、債務者の意向と無関係に債権者と引受人との間でなしうると解されている。


●3級 憲法 
 


●3級 刑法 
 法学検定3級試験の「刑法」では,法学部2年次ないし3年次修了者を念頭に置いて問題が作成されている。すなわち, 刑法総論および各論の勉強をひととおり終えた学生が,その中の主要なテーマに関する学説・判例の正確な理解があるかどうかを試すことができるような 少し高度な問題が出される。ただ,3級問題集の刑法編をきちんと勉強してきた受験者にとっては高い得点をとることは難しくなかったはずである。平均点 は20点満点で11.562点であり,もともと念頭に置いていたレベル(12点程度)にほぼ相応していた。3級問題集にない問題が5問ほどあったが(問題番号1, 3,12,15,19),これらについてもおおむね(若干の例外を除いて)正答率が高く,受験者がよく準備して試験に臨んでいることをうかがわせる。受験者 (4344人)のうちで,16点以上の得点をとった人が15.6%(678人),18点以上をとった人が4.2%(181人),満点をとった人も0.3%(13人)いた。
 正答率が最も低かったのは,偽造罪に関する理解を問う問題19であった(16.4%)。正答は選択肢4であり,それは,東京地判平15・1・31判例時報1838号 158頁のケースにもとづき,少し修正を加えたものである。このケースは,「Xは、戸籍上Xの氏名を有していた者であるが、金融会社から多額の借金をした もののその返済をしなかったことから信用を失い、自己の名義であるXではさらに融資を受けることができない融資不適格者となっていたことから、Aの承諾 を得ないまま、勝手に同人を養父とする養子縁組届を行い、戸籍上の氏名をYに変更した上、消費者金融の店舗において、備付けの極度借入基本契約書の氏名 欄に「Y」と書き、住所・電話番号等はみずからのものを記入して、Y作成名義の極度借入基本契約書1通を作成し、別途不正に入手したY名義の自動車運転 免許証とともに提出・提示して、B社発行のキャッシングカードの交付を申し込み、同カード1枚を交付させた」というものであった。東京地裁は,本件養子 縁組は、縁組意思を欠く無効なものであって、被告人の氏をY姓とする氏の変更の効果も生じないとし,「養子縁組が無効である以上、被害会社に対し、以後 の融資契約等の法律効果の帰属主体を、本件養子縁組以前のXすなわち被告人とは別個の人格であるYと偽り、その結果、融資契約等の法律効果が帰属する人格 の経済的信用度を誤らせるもので、虚偽の人格の帰属主体を表示し、各文書の作成名義を偽るものにほかならず」,有印私文書偽造罪が成立」し,本件申込書 を被害会社の担当者に提出、提示して閲覧させる行為は、偽造有印私文書行使罪に該当するとしている。その結論は,判例及び通説による有形偽造の理解にそ うものであろう。


●3級 商法 
 商法に関してだけではないが、商法の試験結果は新作問題(問題番号2・5・14・17・19)の正解率が2割から3割で、 問題集から出題した問題の正解率がほぼ5割から6割であったことと比較すると顕著な特徴であった。
新作問題は、確かに少々細かいところを聞いている感がしないではない。受験生が普段の勉強でこのようなところの知識まで勉強しておくことは大変であろう。 しかし、そのような設問であっても、落ち着いて検討をして欲しい。そうすると、明らかにおかしい選択肢が含まれている問もある(問題番号19)。また、 有限会社の監査役には業務監査権がないことを知っていれば、会社と取締役との訴訟で会社を代表する権限がないことを推論できる(問題番号14)。授権 資本制度から「資本の額」・「会社が発行する株式総数」・「発行済株式総数」が定款に記載できないことは、新株発行が定款変更事項になって株主総会特別 決議事項になってしまうことを考えれば、問題番号5も簡単に推論できる問題である。とすると、新作問題であるとしても、問題番号2と17くらいがまさに 知らないとできない問題といえる。
 問題集からの設問でも、正解率が一般的にそれほど高くないのは、商行為や手形という分野、そして会社法の最近の改正が聞かれている問題である。前者は 大学の講義などが手薄になっていること、後者は教科書の改訂などが改正に追いついていないことなどの要因が考えられる。
 しかし、3級は商法の基礎的な知識を問うことを目的としているので、商法改正も落ち着き、定着していけば、普段からの勉強によって、そして、今回指摘し た点をふまえてもらえれば正解率は高くなると思われる。


●3級 行政法 
 行政法3級の試験で求められるのは、行政法の「基礎」「基本」となる知見である。現代行政をめぐる複雑な問題に対応する にも、基本が肝要である。この観点から、本年度試験の若干につき講評する。
 行政法の基礎理解には、他法分野の原理や仕組みを踏まえる必要があるものが多い。問題1はその一端をあつかったものである。行政法のテキストだけでは 十分な理解が得られない場合、関連分野の教科書も、事項索引など手がかりにしつつ参照すると良い。
 行政法には一般法典がないこともあり、個別法に登場する制度や行為を、学説や判例が独自に分類することも多い。行政処分の分類はその代表例である (問題4)。分類について闇雲に覚えるのではなく、どういう観点で、その分類がなされ、紛争の解決にどのような意味をもつのかを考える必要がある。
 国家賠償法1条の対象となる行為に関する問題12では、選択肢1を選んだ誤答が多かったが、ある行為が「公権力の行使」であるかどうかという観点によって、 弁護士会による懲戒処分は、法律により「公権力の行使」が授権されており、対象となる。それに対して、国公立病院の医療過誤行為については、国家賠償法 ではなく、民法を適用するのが判例である(選択肢3が正解)。


●3級 民事訴訟法 
 


●3級 刑事訴訟法 
 


●3級 労働法 
 


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