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新司法試験合格者座談会
〔1〕
法科大学院への進学と学生生活

 2006年11月10日、新司法試験合格者3名(法科大学院既修者コース)をお招きし、これまでの道のりや今後の抱負についての座談会を開催しました。
 今回のテーマは、(1)「法科大学院への進学と学生生活」です。新司法試験合格者の皆さんが法科大学院へ進学しようと考えた動機や、法科大学院での生活について、ざっくばらんにお話し頂きました。次号には、同座談会後半のテーマ(2)「試験合格と目指す法曹像(仮)」を掲載する予定です。

出席者: [聴き手] 成田信子(東京弁護士会・弁護士/(財)日弁連法務研究財団事務局員)
[聴き手] 江森史麻子(第一東京弁護士会・弁護士/(財)日弁連法務研究財団事務局員)
大塚智子(九州大学法科大学院卒・第60期司法修習生)
杉本みさ紀(愛知大学法科大学院卒・第60期司法修習生)
田中太陽(中央大学法科大学院卒・第60期司法修習生)
開催日: 2006年11月10日(金)
場 所: 弁護士会館17階会議室


[成田]司法制度改革の一環として法曹養成制度も大きく変わっていく中で、法科大学院制度が誕生しました。優秀な法曹人口を増やして各界の要望にこたえようということが1つと、それから、従前の法曹教育の欠陥であったプロセス教育が必要だということを背景として法科大学院制度が誕生したわけですが、その中で皆さんは第1期の卒業生でもあり、合格者でもあるので、法科大学院の中で一体どのような教育を受けられて、どのような形で新司法試験にチャレンジされて、今後どのような抱負を抱いておられるのか、そういうことに大変興味がありまして、本日お集まりいただきました。

[江森]本日はお忙しいところ、お集まり頂きましてありがとうございます。どうぞ宜しくお願いします。
 ではまず、皆さんの簡単な自己紹介からお願いします。

[大塚]九州大学法科大学院を修了しました大塚智子と申します。福岡出身で、東京大学経済学部を卒業後、現行の司法試験を受験していました。その後、法科大学院設立に伴い、地元の九州大学に進学しました。

[田中]田中太陽と申します。出身は横浜、出身大学は上智大学の法学部です。大学卒業後、長い間、司法試験を受験していましたが、法科大学院発足を機に目標を新司法試験に切り替えて、中央大学法科大学院に進学しました。

[杉本]杉本みさ紀といいます。出身大学は中央大学の法学部です。愛知大学法科大学院を修了しております。中央大学在学中から旧試験(旧司法試験)を志しておりまして、一たん少し自分の中で挫折の思いもあり、社会人として仕事につきまして、社会経験を積み、もう一度、夢を再びということで、この新司法試験にチャレンジするべく戻ってまいりました。

[江森]具体的にお仕事はどういうことをなさっていますか。

[杉本]公益法人の事務局です。主に民間の賃貸住宅の大家さんでつくる社団法人なんですけれども、公益法人ですから大家さん、入居者の方、それから、それを取り巻く業者さん、それから地域社会への幅広い貢献を目的とした社団法人です。

[江森]そうすると、法科大学院に入られた後にお仕事をおやめになったということですか。

[杉本]私は現在40歳で、仕事に一定の責任を持たされる立場になりますので、仕事をやめるというわけにはいかずに、大学のほうの了解も得た上、仕事を続けながら法科大学院に通いました。新司法試験に合格した時点で、その次の日に退職しました。今は引き継ぎをしています。

[江森]では、引き続いて、今の説明のとおり、新しい制度ができまして、皆さん果敢に第1期生として飛び込まれたわけですけれども、それに踏み切った主な理由、それから、ご出身の法科大学院を選ばれた理由、このあたりについてご説明をいただければと思います。

[杉本]旧試験をもう一度頑張るというわけではなくて、あえて新司法試験に飛び込んだ主な動機は、仕事をしておりましたので、タイミングでした。つまり、司法改革の流れの中で、職場の理解が得られたということです。法科大学院に行くんだ、新司法試験を受けるんだ、そして法曹資格を持って再び今の職場や、それを取り巻く人々に貢献できるんだという私自身の自負もありましたし、職場のスタッフがそれを理解してくれた。各界からPRがありましたので、ああ、あれねということで旧試験よりも非常に周りの理解が得られやすかったということが大きな理由ですね。
 また、あえて愛知大学にしたのは、大学の理念として地域に根差した法曹の養成、地域社会に根差した法曹の養成ということをトップに挙げていて、むしろ私のほうが今までの仕事の中で、そういう弁護士さんがいてほしいなと思っていたわけです。ですから、私がそこへ入ったら、そういうふうに育ててもらえるんじゃないかなと思ったことが一番の決め手でした。

[江森]ちなみに、ほかに合格した大学は幾つありますか。

[杉本]私は愛知大学しか合格をもらっていません。愛知大学が受験日程が早かったためです。私はAO入試(アドミッション・オフィス入試:一種の特別入試)で一番最初に合格を出してもらいましたので、願書は名古屋大学にも出しておりましたが、受験はしませんでした。

[成田]司法改革の波に背中を押してもらったというか。

[田中]僕の場合は、杉本さんのようにチャンス到来というわけではなくて、今まで挑戦していた旧試験では、論文試験で前から3分の1くらいの順位をとるのですが、次の年も3分の1という具合に、成績がAの端っこかBくらいで上がっていかなくて、閉塞感というか、同じところをグルグル、グルグル回っているような感じがしていたちょうどそのときに法科大学院が始まるという話があり、実務と理論の架橋のような役割?例えば、模擬裁判とか、弁護士事務所に出向くリーガル・クリニック等の授業を通じて、実際に、自分が将来なりたい法曹像を現実化したイメージとして見ることができれば、すごくモチベーションになるに違いないと思いまして、心機一転を図るためにロースクール経由で法曹になろうと思いました。

[江森]中央大学に行かれた理由は何ですか。

[田中]入学試験の結果が良ければ1学年の定員200名のうち100名程度が授業料の半額免除が受けられるという金銭面でのことが一番の理由です。
 それから、以前から興味があった倒産法の分野で有名な先生が多かったことがあります。最高裁判事に就任された才口千晴先生、産業再生委員長の高木新二郎先生、民事再生法では小林信明先生のお話や生の考え方を是非とも聴きたくて。

[江森]ほかの大学には合格されたのですか。

[田中]中央大学だけです。

[成田]田中さんの場合、まさにご自分が期待されていたような制度ができたという感じですね。

[田中]自分の目指す法曹像を具体的に意識できることでモチベーションを維持できるという点では、おっしゃる通りです。やれば間違いなく受かるんだと思ってやっていって、そのまま受かったというか。

[江森]おもしろいですね。

[大塚]私も田中さん同様、旧試験に合格できずにいたので、環境を変えたかったんです。地元の大学院を選んだのは、やはり経済的理由ですね。東京などで一人暮らしとなると、多額の費用がかかってしまいますので。実家から通えるところというのが第一条件でした。その中でも九州大学を選んだ理由としては、開講科目が多様だったということが挙げられますね。総合大学ということで、法医学や心理学などもカリキュラムにあり、興味を持ちました。

[江森]今、ご実家から通える大学ということでしたが、この後、法曹になられてもやはりご実家の近くの地域で活躍されるということでしょうか。

[大塚]はい。福岡で働けたらと考えています。

[成田]大塚さんの場合も、今までの受験ではいろいろと方向性がわからなかったけれど、大きな変換点を新しい制度の中で見つけたということですね。

[江森]そうですね。特に旧試験を受けている人でなかなか飛び込めない人も大勢いるわけですが、そういう迷いはありませんでしたか。

[大塚]非常に迷いました。特に入学1年目は、旧試験も並行して受験しようかと直前まで悩みました。しかし、学校の授業が忙しかったことと、回数制限のことがあり、断念しました。

[江森]そうすると、ロースクールに行かれてからは旧試験は受けていないということですか。

[大塚]受けていません。

[江森]その点、田中さんはどうですか。

[田中]僕も大塚さんと同じように、進学後は受けていないです。

[江森]旧試験について未練がなかったのでしょうか。

[田中]ロースクール進学当時は、1回だけ受験する予定でいたのですが、いざ進学してみると、日々の予習や課題をこなすだけで手一杯になってしまって、結局1度も受験できませんでした。

[成田]出願もしなかったんですか。

[田中]一応出願はしたのですが、結局、3月ぐらいにはもうやめました。

[江森]ロースクールというと、適性試験をかなり早い時期、5月、6月に受けなくてはいけないというのは負担だと思うんですけれども、そのあたりどうでしたか。それから、大学入試センターと当財団とで2つの試験がありますが、どちらを受けられましたか。また、その負担感とか、あるいはこれを法曹になるための素養を見るのにふさわしい試験と思うかどうか、率直なところをぜひ教えていただきたいです。

[大塚]適性試験は2つとも受けました。私たちが受験した3年前は、確か8月くらいに実施されたのではないかと記憶しています。その年、私は旧試験の論文試験を受けていた関係で、適性試験の準備はほとんどできませんでした。準備をしなかったという意味で、負担は感じませんでしたね。素養を見るために相応しいかどうかという点ですが、これについては疑問があるというのが正直なところです。

[田中]僕の場合は両方受けましたが、かなり準備しました。国家公務員用の対策講座を受講したり、予備校の実施する答案練習会に参加したりと。

[江森]法律家の素養を見る問題になっていると思いますか。

[田中]問題数が少ないので一概には何とも言えませんが、論理系の問題は一致すると思います。実際、ロースクールにおいて勉強しているときに、適性試験の問題の尋ね方に似ているなあ、と幾つか思い当たることはありました。

[成田]一生懸命勉強されて、それによって点数が上がったと思いますか。

[田中]事前に文部科学省から公表されていた適性試験について、最初、何の前提知識もなく対策もせずに解いてみた時は100点中70点程度だったのですが、試験対策をすることにより15点程度上がりました。特に、論理問題は正解率が上がるという印象です。

[杉本]私は両方受けました。自分の準備としてはどこかの予備校か出版社かが出していた問題集を1冊買い、それで、司法試験予備校が実施していた模試に1回行き、本番に臨みました。そんなに自分の中で重視していなかったので、あまり準備をせずに臨んだと思います。
 法律家の素養との関連性は、正直よくわかりません。ただ、友達や後輩から不得意だということでよく相談されますが、法律家として、社会人として、何も劣ってはいないと私は思うので、そういう意味では適性試験で道が閉ざされるのはちょっとかわいそうだし、社会的損失かなという気がします。

[江森]そうですね。適性試験については検証が進んでいるところで、あり方、問題のあるべき姿というのはまだこれから変わると思いますが、今言っていただいたような感想というのも実感としてはあるのでしょうか。

[成田]そうですね。司法改革の一環として、どの法科大学院に入るにしても統一した試験を受けるという仕組み?アメリカで実施されているLSATというロースクール・アドミッションテスト?と同じようなものを考えていたんですよね。それを日本でも導入して適性試験を実施することになったのですが、これからもいろいろと検証して、法科大学院の教育成果とどんな相関性があるのかなど、そういう研究もきちんとしていくことが必要です。アメリカでは研究が徹底されているんですが。

[江森]法科大学院に入学された後のお話に進めてまいりましょう。いろいろな期待を持って入られたことと思います。田中さんから、例えば理論と実務の架橋教育があるのではないかというような話もありましたが、入ってみて、期待を超えてよかったと思われること、あるいは逆に期待外れだなと思われたことなどがあれば、順に教えてください。

[田中]まず、期待を上回ったことですが、教員の方が非常に熱心で、ロースクールと新司法試験、司法制度改革を成功させようという熱意に満ちていて、それを学校全体でやっているという雰囲気が期待以上でした。旧試験のときは自分1人と仲間2、3人でやっているという感じだったのですが、教員と生徒が一体となって学校自体、制度自体を成功させるんだという感じがして、すごく心強かったです。
 また、授業においては、特に実務家教員の授業では、実務を意識した講義がなされており、自分の最初に入学を決意したときのイメージがそのまま目の前にバッと開けた感じで、ロースクールに進学して正解だったと思いました。
 新試験はロースクールの授業をこなせば合格できるというのが制度設計上の目標だったと聞いていたのですが、実際に本試験を受験してみると、ロースクールの授業でやったことばかりで、ロースクールの延長上に司法試験があることを実感することができました。日頃の努力が試験にダイレクトに反映されるという点で、期待を上回りました。
 逆に期待外れだったことですが、1つは、ロースクールは教員から学生への一方的な講義形式ではなくて、教員と学生が双方向で議論を闘わせる授業を標榜していたにもかかわらず、そのことを全く意識せずに授業を行う教員が、数名いたことです。この傾向は学部兼任の方に多かったです。
 2つめは、中大は1クラス50人前後で授業を行っていたので、教員と学生との関係が希薄になりがちで、特に授業中においては、学生全員に発言の機会を与えようとすると、学生1人1人の発言時間が制限されてしまうことから、悔しい思いをすることが多々ありました。

[江森]今出たお話で思い当たるところ、大塚さん、杉本さん、同じようなことはありますか。

[大塚]先生によって授業内容とか方法にはばらつきがあったかなとは思いますね。

[成田]それは実務家の先生と研究者の先生との違いですか。

[大塚]それもありますし、研究者の方の中でも違いはあります。ただし、私個人は、全ての授業が双方向に向いているとは思っていないんです。ですので、ばらつきは仕方がないことかなと。但し、田中さんのように双方向授業を望まれている方は少々不満だったかもしれません。

[江森]杉本さん、双方向性ということについては。

[杉本]愛知大学の場合はやはり少人数ということが、ものすごく強みだったかなと思います。もちろん双方向にするには先生がリードしないといけないのですが、少しのリードで自然と双方向になっていく。学生はみんな話したがりですから。ですので、やはり中央大学のような大きなところと、そこが違うかなという感想を持ちました。

[江森]ちなみに杉本さんの学年は何人ですか。

[杉本]19人でした。

[江森]そうすると、大分雰囲気が違いますね。

[杉本]そうですね。まず先生との関係が非常に濃密でした。すべての先生に対して、大体あの先生はこういう癖があるとか、こういうことで時々悩んでいるとか、そういうところまでわかって、非常に身近な自分の師匠のように、すべての先生方とふれあえました。それから、学生同士が非常に仲良しでした。ライバルではあるのですが、助け合うというか。今も、今年残念ながら合格できなかった学生に対して必要に応じて現合格者がいろいろ手助けしたりしているということもありますので、クラスが小さかったことは先生との関係以外でも、クラスの中でも非常に濃密でいい関係ができたかと思います。

[江森]おもしろいですね。

[大塚]九州大学は愛知大学よりさらに少なく、最終的には既修者コースは14人でしたので、学校の授業や受験に関して、みんなで協力しあっていましたね。

[江森]ありがとうございました。
 では、今度は大塚さんのほうから、入ってみて期待を上回ってよかったこと、がっかりしたことがあれば教えてください。

[大塚]まず上回っている点としては、地元の福岡の法曹界とのかかわりを持てたことではないでしょうか。授業を通じて、福岡の弁護士や、福岡地裁の現役の裁判官の方々と、思っていたより親しく交流できました。また、エクスターンシップでは、法律事務所だけでなく地元の企業の法務部や、行政まで体験することが可能でした。そういう点は、とても充実していたんじゃないかなと思います。
 期待外れというか、残念だった点としては、情報不足ですね。東京のロースクールに比べて、いろいろな意味で情報が少なかったように思います。それから、東京では司法研修所の現役の教官による授業が行われていましたよね。そういうことは福岡では不可能ですから、羨ましかったです。

[江森]情報というと、具体的にどんな情報でしょうか。

[大塚]東京はたくさんのロースクールがありますから、自ずと学者の方々、試験委員の方々も多くいらっしゃいますよね。周りから、例えば「あの先生はどういうことに興味がある」とか「あのロースクールではこういう授業をしている」といった情報が流れてくると思うんですよ。

[江森]特にそういう部分でリカバーを心がけたということはありますか、例えば雑誌を読むとか。

[大塚]東京のロースクールに通っている友人に聞くことくらいしかできなかったですね。リカバーができたかどうかは疑問です。

[江森]情報の点では杉本さんはいかがですか。

[杉本]私は名古屋ですから、ちょうど九州と東京の真ん中くらいだなという感想を持って聞いていたんですけれども、やはり東京に比べたら、情報量は少ないだろうと思います。ですから、情報収集が得意な一部の先生方や学生がせっせと情報を収集しまして、メールで流してくれました。私はそういうことには疎いものですから、ありがたいなと思っていました。

[江森]それでは、杉本さん、期待を上回ったことと期待外れだったことは。

[杉本]非常に素朴な言い方になるんですけれども、私は全体的に期待以上でした。こんな手厚い教育を受けられるとは思ってもみなかったというのが率直な感想です。やはり先生との距離が近かった。それから、先ほど先生の教え方にばらつきがあると言われましたが、それは愛知大学でもやっぱり同じでした。ばらつきがあります。どちらがいい悪いというのではなく、学者の先生の教え方、教え方の上手さ、内容などはやはり実務家の先生とは違いましたし、同じ実務家の先生の中でも違いました。個人的な感想なのかもしれないですが、私にとってはむしろそれがありがたかったです。
 つまり、アカデミックな内容の授業と、実務に近い内容の授業の両方があった場合には、それをお互いに応用したり、ミックスしていくよう心がければ、ある程度はカバーできるし、多様な教え方の授業を受けられるということで、非常にありがたかった。この点は、実は先生方が、その後、ほかの先生の教え方や学生の要望でちょっと調整していらっしゃる節があるんですが、その多様性、先生の非常に強い個性をむしろ失わせないでほしいなという気がするくらいです。初年度ということで先生たちがそれぞれ全力投球で自分の一番得意とする教え方で試みられたことが、私にとってとてもいいことだったと思っております。
 逆に期待外れだったことというと、たくさんの授業科目を用意していただいていたにもかかわらず、特に先端的なものや司法試験に関係ない科目を、残念ながら全く受講できずに終わってしまったということです。例えば私は、国際法などを受講しておりません。これはもちろん私の責任でもありますが、やはり履修単位の上限の関係と、司法試験合格という目標の関係と、それから、私の個人的な仕事とのバランスの関係で、せっかくその先生が準備して私たちを迎え入れようとして待っていてくださったであろう科目をおそらく3分の1くらいは、その先生のお顔も拝見できずに終わってしまっています。
 そういう科目がありまして、私以外にも、ほかの学生が受講しないから受講者ゼロ、開講せずという科目がいっぱいありました。多分、とてもすてきな授業を受けられたんだろうなとすごく惜しい気がしました。そこが、残念だったことです。

[成田]2年間だからやはり限界があるんでしょうね。

[江森]履修上限というのは決まっていますよね。1年生から3年生まで、それぞれ36単位、36単位、44単位。
 そうすると、どうしてもいっぱいいっぱいになってしまいます。実務家におなりになってからまた勉強に戻られるというご計画はおありですか。

[杉本]そうですね。それはそうしたいです。ただ、実務家になったらやはり実務の目の前のお客様に対することが優先してしまい、自分にとる時間を遠慮してしまうのではないかなと。でも、その中でもあえてなるべく勉強していきたいと思います。

[江森]そうですね。ぜひ志は持ち続けていただけるといいなと思います。
 先生方の個性がばらばらだったことがよかったというのは、杉本さんは社会人経験もおありになって、ある程度、そこがわかるだけの力があったからかもしれないなと思って伺っていたんですけれども、ばらばらな個性に対して、若い人でもついていけるんですか。

[杉本]この科目ではここの部分が欠けているからフォローしてほしいという声はあるように聞いております。それで実際に私も今、ティーチング・アシスタントをしています。例えば学者の先生の授業中心の科目で、少し択一対策が手薄だという声が多いものですから、実務家の先生より、もっと学生に近い、合格者という立場で、択一のお手伝いをしております。やはりフォローはしていかないと、不満が残ることはよくないですから。そこは受けとめる方のそれぞれの受けとめ方でしょうね。

[江森]ありがとうございます。

[成田]皆さんとても満足されているし、すばらしいなと思います。皆さんはそれぞれこういう制度を待っていた、期待していたというところでロースクールに入られているのですね。

[江森]時と場所を得たという感じですね。

[成田]そうですね。特に学生と教授が一体感を持って司法改革を成功させようと熱心になっているとおっしゃった田中さんのご意見にすごく感動しましたね。

[江森]非常にいいお話を聞かせていただきました。

>>次号につづく


注)文中「法科大学院」と「ロースクール」は同義として使用しています。


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(2007.1.1発行)


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