実際に法学検定試験を受験し、見事合格を果たした方から
試験の感想や体験談をお寄せいただきました。
[アドバンスト〈上級〉コース] 最優秀賞
[スタンダード〈中級〉コース] 優秀賞
埼玉県26歳 糸部 孝洋さん
法学検定試験を受験したのは、自らの法学に関する素養を測定するための客観的尺度として、また普段の法学習の目標として好適であると考えたためです。
私の法学との関わりを振り返れば、大学の法学部に籍を置いたことを端緒に、法学部生の本分として、就職のための受験勉強として、そして就職後は魅力的な趣味としてと、動機や場面は幾たびか変遷しつつも、随分と長らく法を学び続けてきております。さらに、公務員として行政に携わり、しかも行政法学にいうところの侵害処分の一種を担う身となってからは、関係諸法令の知識に対する正確な理解が問われる局面に多くぶつかるようにもなりました。現在の私には、公私を問わず、法律書の頁をめくらない日はありません。こうした中で、今一度自らの法学的知識を客観的に把握し、かつ、さらに向上させたいと思い、本検定を受験させていただいた次第です。
学習方法として心がけたのは、各論点に対する深い理解です。試験科目とされているどの法分野においても、数多くの論点が存在しております。それら1つひとつにおける主要判例の結論と論理過程を知っておくことは最低限として、その論点をめぐる学説の対立状況や、各学説の利点および欠点についても丁寧に学びとることを重視しました。知的好奇心を刺激されて実に楽しい学習となりますし、また、深い理解は正確な記憶にも応用力の涵養にもつながるものです。
こうした学習においては、必然的に先生方の御高書を多く拝読することとなりました。たとえば、塩野宏先生の『行政法』(有斐閣)は、学部生の時分よりお世話になっておりますが、このたびの受験に向けた学習においても愛用させていただきました。また、私が民事訴訟法で満点をとることができたのは、新堂幸司先生の名著『新民事訴訟法』(弘文堂)のおかげに他なりません。
今後については、従前どおり、法学を楽しみつつ修めていきたいと思います。動揺著しい行政の最前線から生まれる新しい行政法理論にも触れたいですし、近年巷間を賑わせる民法改正案についても学びを深めていきます。その他、租税法や登記法など実務的な法分野から、我が国の法制史や法哲学に至るまで、深く広く、学び続けていきます。
[アドバンスト〈上級〉コース] 団体賞
神戸学院大学2年 平野茉利奈さん
まず、法学検定試験を受験した動機は、自分が今まで学んできた法律がどの程度身についているのかを確かめたいと思ったからです。法検の受験の前に、他の法律試験を受けており、今回の受験はその延長線でもありました。そのため、法検はその法律試験を受けたメンバーと一緒に受験しました。
次に、勉強方法についてですが、個人としては、過去問を解きつつ基本書を読むという形で進めました。基本書を利用した理由は、アドバンスト〈上級〉コースの問題は、過去問からそのまま出題されるわけではないため、条文や制度の趣旨を理解し、そこから考え方を築くということが重要だと考えたからです。基本書で基礎を固めつつ、過去問で出た条文や判例はその都度確認し、知識の定着に努めました。また、団体としては、法律試験を受けたメンバー全員で勉強ができるよう教室をとり、自習室として利用し、勉強の環境を整えました。他にも、法律試験では試験科目ではなかった刑法については先輩方が勉強会を開いてくださるなど、全員で合格を目指すという体制を整えました。自習室がとれない日も、閉校時間まで友達と学校に残り、勉強をしました。
結果として合格することが出来ましたが、この結果に満足することなく、これからもよりいっそう勉学に励み、将来は法曹になりたいと考えています。
[アドバンスト〈上級〉コース] 団体賞
[スタンダード〈中級〉コース] 団体賞
神戸学院大学3年 北野 有紗さん
私が、法学検定試験を受験しようと思ったきっかけは、大学内で開講されているある資格講座の先生からのお誘いがあったことと、大学在籍中に法学部生としての軌跡を残したいと思ったからです。
私は勉強をする際に2つ重視していたことがあります。
1つ目は苦手分野の過去問を重点的に解くことです。私は憲法の判例問題が苦手だったので、他の問題以上に過去問を解いては判例集を見ての繰り返しを行い、判例全体の流れを理解して頭にいれることを意識して解いていました。
2つ目は他の法律試験の過去問を解くことです。他の試験の過去問を解いた理由は気分転換をするためです。法学検定の過去問をある程度周回すると答えを覚えてしまうので違う視点で問題を解くようにしていました。
そして、私達は個人の勉強だけでなく、団体の取り組みとして勉強会を行っていました。私達大学3年生数人のメンバーが各科目を担当し、他のメンバーに向けてのミニ授業を行いました。授業を行うためには、相手にわかりやすく説明ができるように担当科目を自分がより深く理解しなければなりません。そのため、私はただ問題を解くのではなく、教えるということを念頭に置いて問題を解きました。
その結果、問題に対する理解が深まり、自分の勉強にも繋がりました。更に勉強会や集まって自習をすることによって皆で合格しようという一体感が生まれました。
また、集まって勉強することで同じ目標を持った友人たちの勉強する姿を見ることができるので、自分もまた頑張ってみようと再度気を引き締めるきっかけの場でもありました。これは私が合格できた大きな理由の1つだと思います。
友人や支えてくれた家族、先生に感謝しつつ、これからは、この経験を生かして自分の将来に向かって努力していきたいと思います。
[スタンダード〈中級〉コース] 最優秀賞
[アドバンスト〈上級〉コース] 合格
大学2年 財前 海さん
私は、自分の法律学習の目標として受験しました。私の専門は法学ではありませんが、法律の勉強を通して法的な考え方を知り、新たな世界が開けたと感じました。今、世の中にはさまざまな問題があり、立法、司法、行政はそれに対処しなければなりません。それなのになぜ解決されないのか、どんな壁があるのか、というのが、憲法、行政法といった法を学ぶ中で少しだけ見えてきました。また、法律の学習の中では哲学的、倫理的な発想が求められます。民法や刑法といった法は個人を拘束しますが、なぜこのようなルールがあるのかを考えることで、他人とつきあっていく上で必要な考え方が身についてきます。そういった法律学習を進める上での1つの目標として法学検定試験の受験は適切だと考えました。
勉強方法としては、最初は行政書士などの受験対策書を利用しました。これは要点が分かりやすく、法律用語に慣れるには十分でした。しかし法検の傾向とは少し異なっていたため、基本書を読むようになりました。分厚いため時間はかかりましたが、それでも理解するまでじっくり読むことで思考力が伸びたと思います。実際、基本書を読んだ科目とそうでない科目で過去問の出来にかなり差が出ました。
将来はおそらく法律を直接取り扱うことはないと思いますが、それでも何らかの形で関わっていきたいと思います。
[スタンダード〈中級〉コース] 最優秀賞
[アドバンスト〈上級〉コース] 合格
東京都34歳 荒川 和真さん
私は,地方公務員として11年間働いてきましたが,その間,税金や福祉等のさまざまな職務に携わってきました。その中でも特に印象に残っているのが,福祉関係の部署に在籍していた時に担当していた審査請求に関する仕事です。
1つひとつの事案において,審査請求人及び処分庁が主張していることは何か,審査庁として判断しなくてはいけない論点は何か,論点について判断する際に依拠する法律は何か,どの条文か,その条文をどのように解釈するかといったことを地道に考えていく作業でした。
この作業を通じ,さまざまな法律を読む機会に恵まれましたが,結論(裁決)に至るまでの筋道を与えてくれる「法律」に非常に魅力を感じ,改めて法律を学んでみたいと思い,法学検定試験を受検しようと思い至りました。
受験勉強は,問題集を3回回しましたが,必ず条文・判例に当たるように心がけ,正確に理解するよう努めました。幸い,法学検定の問題は良問が多く,解説もわかりやすいため,楽しく勉強することができました。結果として,スタンダードの最優秀賞を受賞することができ,大変光栄に感じております。
今後は,アドバンスト等の試験にチャレンジして更なる法的素養を身に着け,地方自治体における職務に活かしていきたいと考えています。
[スタンダード〈中級〉コース] 優秀賞
大阪大学2年 東 紘史さん
自分の実力を試したい。これが今回法学検定試験を受けた動機です。私は大学で法律についてある程度勉強してきました。しかし、法律、判例に関する知識がどのくらいついているのか分かりませんでした。法検を受けることで、自分の現時点での到達地を客観的に測ることができるとともに、自分に欠けている知識を埋めることができました。さらに検定合格という1つの目標をつくることが、一層の励みとなりました。
試験を受けるにあたり、まずは中級の問題集の受験する5科目を完璧になるまでやり直ししました。どの科目もまずは一通り解いて、間違えた問題及び合ってはいたがはっきり理由をつけて1つの選択肢に絞れなかった問題に印をつけました。2回目には印をつけた問題を重点的に解き直しました。
法学の基礎の問題の中には比較的知識を持ち合わせていなくても論理的に考えれば解けるものが多いように感じました。憲法や刑法各論では判例を、民法では条文を特に重視しました。刑法総論では特に法的思考を問う問題、いわばパズルのような問題が多いので、ただ丸覚えするのではなく、学説や判例がどのようなプロセスをたどって結論を導いているのかに着目するのが効果的だと思います。選択科目で選んだ行政法では、組織法及び作用法の分野については行政法の教科書を一読したらある程度解けると思います。行政救済法では各行政訴訟や行政の不服申し立ての違いを整理することが必要です。
今回合格したことで、上級合格というさらなる目標ができました。そのためにも法的知識を確実に定着させるのはもちろんのこと、身につけた知識を道具として応用していけるよう日々精進するつもりです。
[ベーシック〈基礎〉コース] 最優秀賞
熊本県立大学3年 小金祐太朗さん
私は、大学に入学してから憲法や法律に興味をもつようになりました。将来は法律に携わる仕事に就きたいと思うようになった折、法学検定試験の存在を知りました。そこで、現時点での自分の能力を確認するのに最適であると思い、ベーシック〈基礎〉とスタンダード〈中級〉の両コースの受験を決めました。
勉強法は、主に行政書士試験用のテキストで基礎知識を学んだ後に、法検の問題集を全問解いて、間違えた問題のみ2回、3回と繰り返すものです。ただし、刑法に関しては行政書士試験用のテキストでは対応できないので、大学の図書館で入門用の刑法の教科書を借りて基礎知識を勉強しました。ベーシックの問題の特徴は、重要だけれども見落としがちな知識の確認ができるところにあるのではないかと思います。また、問題の解説も丁寧で分かりやすかったので、今までよく理解できていなかった部分についても理解を深めることができました。その結果としてベーシック、スタンダード両コース、そして行政書士試験にも合格することができました。
私はまだまだ初学者ですが、法検に挑戦したことでさまざまな知識を学ぶことができました。これからも憲法や法律の勉強を続けていきたいと思います。
[ベーシック〈基礎〉コース] 優秀賞
国士舘大学1年 齊藤江里香さん
法学検定試験を受けた理由は、大学において法律を学ぶ指針とするためです。事実、試験の合格を目指すことは、自分が何を学ぶべきなのかを常に意識させてくれました。この1年、全く知識のない状態から、法律の基礎ついてしっかりと学ぶことが出来ました。
勉強方法としては、特別なことはしていません。講座や参考書で基本的な内容を理解し、知らない法律用語はその都度すぐに調べました。大枠の構造を理解すると、その後の知識を覚えやすくなります。問題集は法検問題集のみを使い、先方のアドバイスに従って3周回を目標して解いていきました。1周目は分からなくても次々に進めて解説を読み込み、2周目に良く理解できなかったところ黄色い付箋、間違えたところを赤い付箋で色分けして、3周目からはその付箋のついた問題を中心に解いていきました。その段階になっても理解に不安があった問題は、理解できるようにノートに纏めました。大切なのは、まず試験の範囲をしっかりと最後まで終えること、次にしっかりと1つひとつの問題を理解しようとすることだと思います。
この試験の結果が届いた時、私は本当に驚きました。まだまだ法を学ぶ者として歩み始めたばかりですが、これからはこの結果に恥じぬように精進していきたいです。そしていずれ学んだ法律知識を生かすことが出来る仕事に就き、人の役に立ちたいと考えています。
[ベーシック〈基礎〉コース] 優秀賞
神奈川県32歳 野澤 卓雄さん
法学検定試験ベーシック〈基礎〉コースを受けようと思った動機はいくつかあります。私は法律を学ぶための学校に通ったことがなく,数年前から法律を独学しています。そのため法学において蛍雪を競う友はおらず,自分の法学への理解度や知識の定着度を相対的に測ることには限りがありました。そして己の学習は飛躍してしまっていないだろうか,基礎が脆弱ではないだろうかという疑念がありました。これらを払拭することが本試験を受けた主な理由の1つです。
学習書として,『2015年法学検定試験問題集ベーシック〈基礎〉コース』を使いました。時間をおいて再読する度に,理解が深まり,記憶が定着することは当然ですが,不思議なことに「こんなこと書かれていただろうか」というような新たな発見がありました(私がアホなだけ?)。
学習において意識したことは,解答の根拠が法律にあるのか,判例にあるのかという区別です。「法律ならば立法府の直接的な意思,判例ならば司法府の判断による帰結」という自分なりの解釈を加えることで記憶が鮮明になりました。また,この峻別がされていると,理解が不十分なところを改めて調べるときに捗ります。
また次のような少し変わった思考をしたため,学習を一層楽しむことができ,飽きることなく集中できたのかもしれません。法令の条文は一見すると無機質ですが,具体的事例に当てはめると生気が感じられます。条文の1つひとつに意図があり,一語に着目してもその単語が選ばれた理由があり,行間を読めば立法者の熱い想いが垣間見られます。また,判例集には民俗書や短編小説とも称せる顔があります。判例には市井の事件の顛末とそれに対する司法府の評価が記されています。約百年も前の判例が引用されている解説も少なくありません。現代とは異なった景色,生活様式,戦争が身近だった頃の日本の先人が今の私達にも十分な説得力を持って是非の判断をしていたことが読み取れると,時間を超えて当時の人と条理を共有しているような感慨を覚えます(特に民法1条,90条等の一般条項を用いた判例にその情趣が感じられます)。一方で,各々の確定判決が当事者の人生の分水嶺となったかもしれないと思うと厳かな気持ちにもなります。
本試験対策の学習を通して,またその試験結果から,法学修得のための基礎がより強固なものになったことを実感できました。次は中級コースを受験しようと勇んでいます。
[ベーシック〈基礎〉コース] 団体賞
立正大学1年 鈴木 佳奈さん
私が所属する法学部では,1年次に法学検定試験ベーシック?基礎?コースを受験する方針を採っています。法検にむけての勉強は,大学1年生の勉強内容を復習,定着する方法・機会として最良だと考えられるので,受験にあたって明確な動機はありませんでしたが,受験後は,受験してよかったと思いました。
勉強について,大学で開講された対策講座を受講しました。配布された冊子に沿って講義が進められ,問題集で対応した問題を解くことによって理解を深めようと努めました。問題集は解説がとても丁寧なので,間違えてしまっても解説をしっかり読めば理解することができました。大学の講義でまだ取り扱っていない内容もありましたが,丁寧な解説のおかげで理解することができました。
法検の勉強は,将来の目標である警察官になるためにとても役立つと思います。スタンダード?中級?コース合格を目指し,今後も勉学に励んでいきたいと思います。
[ベーシック〈基礎〉コース] グループ賞
福岡カレッジ・オブ・ビジネス 甲斐 未来さん
法学検定試験を受験しようと思ったきっかけは,法学系大学への編入の勉強を行っており,法律の基礎を学習する良い機会だと考えたからです。
勉強方法は,試験問題の大半が問題集から出題されると聞いていたので,とにかく問題集を繰り返し解きました。1周目は,問題を解くと同時に,解説を重点的に読んでいきました。そして,解説を読んでもよくわからなかったときは,先生方に質問をして自分が納得のいくまで説明を受け続けました。2周目以降は,繰り返し問題を解いて覚える,というような勉強の仕方をしました。
法検の受験を通じて学んだことは,日々努力することの大切さです。私は当初,民法に苦手意識を持っていました。しかし,その分,理解には苦しみましたが一生懸命に努力した結果,本試験では民法で満点を取ることができました。どんなに苦手だと思っていたことでも,自分次第でそれを得意にすることができるという自信にもつながりました。
今後の目標としては,難関大に編入合格し,最終的には法曹を目指したいと考えています。そして,これからさまざまな苦難に遭遇するとは思いますが,音を上げずに頑張っていきたいと思います。