SSI ファイルの処理中にエラーが発生しました



日弁連法務研究財団法務速報 1号 2001年5月21日



【2001年4月までの主な判例】

(1)最三判平成13年3月27日  最高裁ホームページ

 1 交際の相手方及び内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関する情

報は、大阪府公文書公開等条例所定の非公開事由に該当しない。

 2 大阪府公文書公開条例の部分公開に関する規定に基づき、非公開事由に該当す

る独立した一体的な情報を更に細分化し、その一部のみを非公開とし、その余の部分

を公開すべきものとすることはできない。



(2)東京高決平成12年7月14日判タ1051号305頁

 原審判は、本件養子縁組が相続税の負担を軽減する目的で行われたとするが…当該

養子縁組がそのような動機のもとに行われたとしても、直ちにそのような養子縁組が

無効となるものではない…



(3)最一判平成12年9月7日判タ1051号109頁(みちのく銀行事件上告審判決)

 1 被上告人は、発足時から60歳定年制であったのであるから、55歳以降にも

所定の賃金を得られるということは、…該当労働者の労働条件の一部となっていた…

 2 本件就業規則等変更は、…55歳到達を理由に行員を管理職階又は監督職階か

ら外して専任職階に発令するようにするものであるが、…職階及び役職制度の変更に

限ってみれば、その合理性を認めることが相当である。

 3 本件修行規則等変更のうち賃金減額の効果を有する部分は、上告人らにその効

力を及ぼすことができない…



(4)最三判平成12年12月19日判タ1053号92頁

 1 土地賃借人がその土地上に所有する建物について抵当権を設定した場合には、

原則として、右抵当権の効力は当該土地の賃借権に及び、右建物の買受人と土地賃借

人との関係においては、右建物の所有権とともに土地の賃借権も買受人に移転する。

 2 しかしながら、建物について抵当権を設定した者がその敷地の賃借権を有しな

い場合には、右抵当権の効力が敷地の賃借権に及ぶと解する理由はなく、右建物の買

受人は、民法94条2項、110条の法意により建物の所有権を取得することとなる

ときでも、敷地の賃借権自体についても右の法意により保護されるなどの事情がない

限り、建物の所有権とともに敷地の賃借権を取得するものではない。



(5)最三判平成13年3月27日 最高裁ホームページ

 1 加入電話契約者以外の者がQ2情報サービスを利用した場合には、加入電話契

約者は、特段の事情がない限り、情報料債務を負担しない。

 2 加入電話契約者以外の者が利用したQ2情報サービスに係る情報料について、

加入電話契約者がNNTに対してした支払が法律上の原因を欠く場合に、NTTがこ

れによって得た利得を喪失したものとはいえないとされた事例。



(6)最一判平成13年4月20日 最高裁ホームページ

 文書提出命令申立て却下決定に対し口頭弁論終結後にされた即時抗告は不適法であ

る。



(7)最一判平成13年4月26日 最高裁ホームページ

 市立中学校の教諭が校長の発したエックス線検査受診命令に従わなかった事が懲戒

事由に該当するとされた事例



(8)東京地判平成13年5月10日(平成13年(ワ)第25950号事件)

 1 司法書士は、不動産登記手続に関する委任契約において登記原因の前提的事項

や付随的事項についてまで当然に調査義務を負うものではなく、これを行なうことが

委任契約上の債務となるためには契約当事者間において特に委任契約の内容として合

意することが必要である。

 2 司法書士は、依頼された登記手続を遂行する過程において、申請書添付書類、

殊に登記義務者の権利に関する登記済証のように重要な書類が真正に成立したもので

あるか否かについては慎重に検討し、その職務上の知識及び経験に照らして、一見し

て直ちに分かるような記載内容について不合理な点があれば、これを調査して依頼者

に告げるべき義務(委任契約上の債務)がある。

 3 本件について訴えが提起されるに至った経緯、訴訟の経過、事案の難易、認容

額その他諸般の事情を考慮すると、被告の債務不履行と相当因果関係のある範囲で弁

護士費用を認めるのが相当である。

(参考  新潟地裁長岡支部判決平成10年10月8日(「月刊民事法情報」2001.

4月号41p 根抵当権設定登記等が所有者の意思に基づいてなされたものではない

ことが判明し、登記義務者の意思を確認せずに、保証書を作成した司法書士(登記義

務者の署名押印ある委任状と印鑑証明を確認しただけで、登記義務者本人に直接会う

ことはしなかった)に対して調査確認義務違反があったとして損害賠償責任を認めた

。)



(9)  大阪高判平成11年9月17日判タ1051号286頁

 売主が説明したところが、その後に完成したマンションの状況と一致せず、かつそ

のような状況があったとすれば、買主において契約を締結しなかったと認められる場

合には、買主はマンションの売買契約を解除することもでき、この場合には売主にお

いて、買主が契約が有効であると信頼したことによる損害の賠償をすべき義務がある

…



(10)大阪地決平成12年3月28日金法1608号49頁

 K信用組合(破綻金融機関)が、作成した貸出稟議書について、いずれももっぱら

同信用組合内部の利用に供する目的で作成され、外部に開示することが予定されてい

なかったものであるが、この文書が開示されても所持者である整理回収機構の内部に

おける自由な意思の表明に支障を来し、または同回収機構の自由な意思形成が阻害さ

れるおそれはないというべきであるし、K信用組合は現在においては清算中であるの

で同様である等として、民事訴訟法220条4号ハに規定する「専ら文書の所持者の利

用に供するための文書」に配当しない特段の事情があるとした。



(11) 京都地決平成12年6月23日および28日判時1739号138頁

 株主としての正当な権利行使の範疇を超えた妨害行為にでる蓋然性が高い場合につ

き、株主総会への出席禁止の仮処分が認められた事例。



(12) 東京高決平成12年7月19日判タ1053号282頁

 1 民事執行法161条1項にいう「支払いに代えて」とは、執行債務者について執

行裁判所の定めた価額をもって執行債権等に対する弁済の効果が生じ、執行債権者に

ついても、執行裁判所の定めた価額をもって債権の満足を得ることができる場合を意

味する。

 2 株式の価額を0円と定めて発令された民事執行法161条1項に基づく譲渡命令

は、執行債務者及び執行債権者のいずれに対しも、債権消滅あるいは債権の満足等の

効果を生じさせるものではないから、「支払に代えて」発令されたと解することはで

きず、かかる譲渡命令は違法である。



(13) 大阪地決平成12年9月7日金法1607号55頁

 債権者が、根抵当権の設定を受けた賃貸マンションにつき、担保権による保全不足

額を被保全債権として強制管理を予定した仮差押を申立てた事案において、保全の必

要性につき、仮差押の執行として強制管理の方法を選ぶ場合には、仮差押の登記をす

る方法であれば、債務者の使用収益が全面的に許されるのに、これをも債務者から全

面的に奪うという点で、債務者に与える打撃は極めて大きいものがあるから、その必

要性を肯定するには、債務者の財産管理の現状を維持するだけではとどまらない事情

が認められなければならないことはいうまでもないとして、債権者が抵当権者の場合

、物上代位による取立も可能なことなども考慮し、一般的にみて強制管理の方法によ

る執行の保全として仮差押の必要性を安易には認められず、ましてや、抵当権の場合

にこれを認めるには更に慎重にならざるを得ないとしたうえで、保全の必要性が認め

られないとして、申立に理由なしとした。



(14) 最一決平成12年12月14日判時1737号34頁

 文書提出命令の申立に関する決定について、文書の提出を求められた所持者及び文

書提出命令を申立てた申立人以外の者は当事者であっても抗告の利益を有しない。



(15) 最一判平成13年1月25日判時1740号85頁

 手形の除権判決よりも前に当該手形を善意取得した者は、手形上の権利を失わない。



(16) 最一決平成13年1月30日判時1740号3頁

 株式会社は取締役に対して提起された取締役会の意思決定の違法を理由とする損害

賠償請求訴訟に補助参加することができる。



(17) 東京高決平成13年2月8日金法1607号41頁

 借地上建物(表示登記経由)が、構造、床面積に大きな変動が生じた場合でも(木

造瓦葺平家建居宅・床面積29.75m2→木造瓦葺2階建居宅・床面積1階43.93m2、2階

37.18m2)、両者の間に建物の同一性が失われていない限り、旧表示登記をもって、

増築等後の建物に係る登記ということができるから、建物所有者・土地賃借人は、旧

表示登記をもって、賃借権を、旧表示登記後に敷地に設定された抵当権に対抗できる

。



(18)東京高判平成13年2月20日判時1740号46頁

 1 商工ローン業者が債権回収の困難のリスクを付け替えるるために根保証の法形

式及び手形を利用する場合に公序良俗に反する場合がある。

    2 根保証契約書において明確に根保証金額の記載がなされていても、一方当事

者が契約の意義を知らされておらず、正確な意義を知れば意思表示をしない場合は、

意思表示の合致はなく契約は不成立であるか、心裡留保により無効である。

 3 業者が保証人が詐欺錯誤により保証することを容認し歓迎していたような場合

に、保証の意思表示につき詐欺又は錯誤の主張が可能である。



(19) 最判平成13年3月13日金商1113号3頁

 抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借

人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権

との相殺をもって、抵当権者に対抗することができない。



(20)最判平成13年3月16日金商1114号3頁

 自動継続定期預金について仮差押の執行がなされても、特約に基づく自動継続の効

果が妨げられることはなく、銀行は仮差押の執行がされたことのみをもって継続拒絶

の理由とすることはできない。



(21)東京地判平成13年4月17日金法1609号56頁

   「約定書に基づく○○社の貴社に対する債務について、当組合(破綻金融機関)

は、貴社に一切のご迷惑をおかけしません。」との念書をいれていたとしても、この

文言は「迷惑をかけない」という日常用語が記載されているのみで、その責任の内容

はもちろん、責任を負うべき場合の要件に触れることもないこと等から、これによっ

て、支払担保の意思表示であると解することはできないものとした。



(22)最一決平成12年12月14日判時1737号28頁

   信用金庫の会員が提起した代表訴訟において、信用金庫の稟議書について文書提

出命令の申立をしたが、右稟議書が「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」

(民訴法220条4号ハ)にあたらない。



(23)東京高判平成13年4月26日平成12(行ケ)345 最高裁ホームページ

 権利能力なき社団の名称については,法人との均衡上,その名称は,商標法4条1

項8号の略称に準ずるものとして,同条項に基づきその名称を含む商標の登録を阻止

するためには,著名性を要するものと解し、被告の名称の著名性について審理,判断

することなく,結論を導いた審決を取り消した。



(24)最判平成12年9月7日判時1730号123頁「月刊民事法情報」2001年4号45頁

 印刷用字体の著作物性に関して、これが著作物に該当するためには、顕著な特徴を

有する独創性、及び美術鑑賞の対象となるような美的特性を備えていることが必要と

した上で、著作物に該当しないと判断した。



(25)最二判平成13年2月7日判タ1053号

 同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被擬事件の勾留が競合している場合

、検察官は、被告事件について防御権の不当な制限にわたらない限り、被告事件につ

いてだけ弁護人に選任された者に対しても、接見等の指定権を行使することができる

。



(26)東京高判平成12年10月3日判タ1053号

 破産法374条3号、4号の規定する帳簿に関する犯罪についても、電磁的記録に関

する明文の規定を設けない限り、電磁的記録を帳簿と認め、あるいは、これに準ずる

ものと認め、現行の規定により処罰することは、許されない。



(27)最大決平成13年3月30日最高裁ホームページ

 犯罪の嫌疑を受けた妻のため裁判官として許容される限界を超えた実質的に弁護活

動に当たる行為をしたことを理由として裁判官に対して戒告がされた事例。



【2001年4月までの主な成立法律】☆を付したものは解説がある。

(民事法部門)

高齢者の居住の安定確保に関する法律(閣法)



経済社会の変化に対応する円滑な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正

する等の法律(閣法)



☆配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(参法)

概要:ドメスティック・バイオレンス防止法(以下、DV防止法)とは、被害者の申

立てで、地方裁判所が加害者に対し被害者への接近禁止を命令し、それに違反して接

近する行為を刑事罰で処罰する保護命令制度である。

 DV防止法先進国のアメリカでは1970年代以来、各州が州の法律としてDV防止法

を執行するようになった。アメリカ法の保護命令に関する主な内容は、以下の通りで

ある。

 1)Restraining Order(拘束命令):さらなる虐待を加えることを止めさせる。

 2)No Contact Order (接触禁止命令):被害者への連絡の禁止。電話、手紙、電子

メール、その他。半径50〜100ヤード近づかない。

 3)Vacate Order(立ち退き命令):被害者やその家族の住居から、または仕事場か

ら立ち退く。



 我が国においては、法律の検討過程を通じて、法務省は保護命令の導入に否定的で

あったが、結局成立案の第四章に保護命令の規定が盛り込まれた。但し、拘束命令に

ついては直接規定なし。



【2001年4月までの主な新刊書籍】☆を付したものは解説がある。

(民事法部門)

著者 出版社 頁数 定価

書籍名



國生一彦 商亊法務研究会 269頁 \5000

『改正米国動産担保法』



淀屋橋合同法律事務所編 商亊法務研究会 98頁 \1000

営業マン必携シリーズ13 『Q&A個人再生手続』



青竹正一 中央経済社 346頁 \4200

『現代会社法講義〔第4版〕』



谷原修身 中央経済社 328頁 \3400

『現代独占禁止法要論〔5訂版〕』



額田洋一 税務経理協会 176頁 \1500

『こうして使おう 新成年後見制度』



吉井直昭 青林書院 304頁 \2900

『青林法律相談22 公正証書・認証の法律相談〔増補版〕』



日本コーポレート・ガバナンス編 商亊法務研究会 436頁 \5200

『コーポレート・ガバナンス英国の企業改革』



荒木新五 商亊法務研究会 128頁 \1000

営業マン必携シリーズ12 『借地借家法』



水谷英夫 信山社出版 516頁 \5700

『セクシャル・ハラスメントの実態と法理 タブーから権利へ』



☆野田龍一 九州大学出版 290頁 \4500

『通信と近代契約法』

概要:隔地者間契約における通信事故の法的処理に関する問題を比較法的に論じてい

る。1856年のケルン・ラント裁判判決を端緒に欧米各曹ノおける裁判例を検討した上

で、我が国の法状況を考察している。リスク帰属の問題を国別・年代別に詳細に検討

した法制史研究書であるため、現代のインターネット等の通信事情に関する問題は主

眼となっていない。



丸山秀平 中央経済社 264頁 \3600

『手形法・小切手法概論〔第2版〕』



松田安正 商亊法務研究会 325頁 \2400

『リースの理論と実務〔改訂版〕』



大前恵一朗・滝波泰 商亊法務研究会 237頁 \1800

『一問一答金融商品販売法』



出口耕自 法学書院 280頁 \2700

『基本論点 国際私法〔第2版〕』



山本和彦・長谷川宅司他編 有斐閣 350頁 \3800

『Q&A民事再生法』



吉川日出男・木幡文徳他 信山社出版 256頁 \2600

『講説民法・債権総論』



須藤英章・田比羅誠・林道晴編 商亊法務研究会 348頁 \2800

『個人再生手続の運用モデル』



中川淳 法律文化社 270頁 \2500

『新家族法入門〔第2版〕』



小林秀明 中央経済社 330頁 \3800

『図でわかるインターネットの法律』



河本一郎・岸田雅雄他 商亊法務研究会 317頁 \3400

『日本の会社法〔新訂第4版〕』



(公法部門)

大須賀明、栗城壽夫、樋口陽一、吉田善明編、三省堂、4200円

『憲法辞典』



小林武著、晃洋書房、3700円

『地方自治の憲法学』 



中北龍太郎著、日本評論社、2300円

『活かそう「日本国憲法」』



松尾直著、法律文化社、2800円

『現代行政法総論』



大橋洋一著、有斐閣、3600円

『行政法 現代行政過程論』



小室直樹著、集英社

『痛快 憲法学』 



(刑事法部門)

上田寛・大久保史郎編、日本評論社 7143円

『挑戦をうける刑事司法 ボーダーレス社会における欧米型刑事司法の諸問題』



東京弁護士編、ぎょうせい 3617円

『陪審裁判 旧陪審の証言と今後の課題』 



板倉宏著(改正少年法、最新判例を掲載)、勁草書房 4000円

『新訂刑法総論』



加藤久雄著、有斐閣 2800円

『ボーダーレス時代の刑事政策』 



山口厚著、有斐閣 2600円

『問題研究 刑法総論』



町野朔著、有斐閣 3340円

『犯罪各論の現在』



福田平、大塚仁著、有斐閣 2000円

『刑法判例集』



西田典之、山口厚、佐伯仁志著 有斐閣 3500円

『判例刑法各論 増補版』



林幹人著、上智大学叢書 3500円

『刑法の現代的課題』



(番外)

『空想法律読本』

弾丸より速く走るエイトマンはスピード違反か? などヒーロー番組の法律的疑問を

検証。



SSI ファイルの処理中にエラーが発生しました