法科大学院評価基準改定に関するパブリックコメント(意見提出手続)の結果の概要

2020年3月31日
公益財団法人日弁連法務研究財団

 当財団では、本年3月4日より3月16日まで、法科大学院評価基準の改定に関するパブリックコメント(意見提出手続)を実施しました。この結果の概要は次のとおりです。

・提出意見の概要
  意見提出者数:2件

基準・テーマ等意見概要
1-3 自己改革「どこに問題がありどのような改善活動をなしそれがどう効果を上げているか等を評価する活動」は日本語の文章として、適切に読点を用いることが必要ではないか。
1-3 自己改革定員に達していない志願者数を考慮して、競争倍率が 2 倍を下回らないように合格者数を減らす場合、競争的環境の問題というより、定員と合格者数の乖離が問題となることから、(10)でも、「競争的環境を確保するための」という限定はやや狭すぎるのではないか。
1-3 自己改革「取組」「取り組み」と送り仮名の表記に不統一がある。
1-3 自己改革「社会の法曹に対する要請」は「法曹に対する社会の要請」の方が日本語として自然ではないか。
1-5 情報公開「法科大学院の社会に対する説明責任の観点及び,自己改革や教育等の充実・改善というの観点及び将来の法曹として適性を有する多様な入学者を確保する観点から」について、前段の文章との対応からすると、最初に、自己改革や教育等の充実・改善、次いで、多様な入学者の確保の観点を記載し、その後で、社会に対する説明責任を掲げる方が順序として自然ではないか。
1-5 情報公開「開設準備のために法曹コース設置を考えている大学」について、すでに開設している大学を含めることが必要ではないか。
1-5 情報公開「司法試験予備試験や司法試験,国家公務員試験等に合格したために中退する場合など様々な場合があり」について、例外的な事情であり、学業の不振や進路の変更などの典型事例を掲げる方が適切ではないか。
1-6 学生への約束の履行教員の配備については、各年度によって変更が生じることは不可避であり、前年度までの教員配備を、入学する学生に対して「約束」しているとはいえない趣旨を明らかにするべきではないか。(4)で対応できるという趣旨かもしれないが、(4)はきわめて例外的であり、教員の配備についてこの基準は厳格にすぎると思われる。
1-7 法曹養成連携協定の実施状況『5.判定の目安』として、連携協定の内容が実施されているか早期に改善が可能である場合は「適合判定」、そうでない場合は「不適合判定」と評価判定がなされると、『6.評価判定の視点』(3)「その他、本評価基準に関係のある取り組みや工夫があるか。」というのは何をどう評価するのか。多段階評価であれば、一通りできていればC、加えて何かあれば加点評価というのであれば理解できるが、この表記では「判定」と「評価視点」が一致していないように感じられる。
2-1 入学者選抜「「公正」とは、」について、「公平」と「公正」は区別されているのか。
2-1 入学者選抜「自ら受験を放棄したと認められる者」について、受験の途中で放棄した者を含める趣旨であるとすれば疑問。含めない趣旨であれば、誤解を生じないように書き方に工夫が必要。
2-2 既修者認定「原則である」について、例外を認めるのはどのような場合かが不明。
2-2 既修者認定「当該法科大学院を修了することが可能な単位数を一括して認定することが必要である」について、(2)との関係が不明。たとえば、6科目の既修者認定試験を行い、そのうち、民事訴訟法について能力が十分あると認められない場合、(2)では、民事訴訟法について既修単位を認定することは不適切であるが、この場合、(5)の一括認定といえるのか。
2-3 多様性「社会人」と「実務等の経験のある者」は異なる概念なのか。同じ概念であれば、社会人の後に「等」は不要であり、異なる概念であれば、どのように違うのか不明。
3-4 教員体制・教員組織(4)〈教員の年齢構成〉どのような場合に、「バランスが良い」といえるのかについて、具体的な目安が示されていない。
4-1 教育内容・教育方法の改善に向けた組織的取り組み(1)〈FD活動〉「含まれる」という趣旨が不明。系統毎の組織が全体の組織とは別に必要という趣旨か。
5-1 科目構成(1)〈科目設定・バランス〉「故意、過失」ではなく、「責めに帰すべき事由」ないし「帰責事由」とするべきである。
5-1 科目構成(1)〈科目設定・バランス〉「斟酌する」ではなく「評価する」ではないか。
7-1 学生数(1)〈クラス人数〉「多様な意見を持つ者の間で議論をするためにはある程度の母数が必要である」について、この理由づけであれば、必修科目に限定する理由が不明確である。
7-1 学生数(1)〈クラス人数〉解説(1)との関係では、10 人以上の部分は、法律基本科目のうち必修科目に限るべきではないか。
7-2 学生数(2)〈入学者数〉「入学者数が入学定員を大幅に上回ることとなっていないか」について、1.評価基準と2.趣旨の間に齟齬がある。入学者数が少なすぎることを問わないのであれば、1の基準自体を「バランスを失していない」ではなく、「大幅に上回っていないこと」とするべきではないか。
7-3 学生数(3)〈在籍者数〉「バランスを失していないこと」の基準の書き方について、2の趣旨説明との間で齟齬がある。
8-1 成績評価〈厳格な成績評価の実施〉「可能であるにもかかわらず」について、「可能であるかどうか」ではなく、「適切であるかどうか」が考慮されるべきである。
8-3 異議申立手続〈成績評価・修了認定に対する異議申立手続〉「採点済答案の返却、採点基準の開示及び試験の講評」について、「又は」とすべきではないか。「及び」とすると、採点基準の開示に加えて、試験の講評を実施することも必要となる。「採点済答案を返却し、かつ、採点基準の開示又は試験の講評を実施するなどして」としてはどうか

関連記事

  1. 2022年度の法科大学院評価結果を掲載しました。
  2. 「法科大学院評価基準」,「法科大学院評価基準-解説」,「認証評価…
  3. 当財団の自己点検・評価報告書を公表しました。
  4. 法科大学院評価基準-解説の改定に関するパブリックコメント(意見公…
  5. 2021年度の法科大学院評価結果を掲載しました。
  6. 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律改正案について…
  7. 2020年度下期の法科大学院評価結果を掲載しました。
  8. 法科大学院認証評価における評価手数料の改定について

会員ページ

PAGE TOP